【詩】ビター・スウィート・シンフォニー

自分がどこか、うまく言えないけれどもささやかに変化した、と感じたとしても、
季節が変わればそりゃ自分を取り巻く空気も変わるのだから、
それのおかげで自分自身が変化したものとばかり勘違いしてるだけではないのか。
と、ふと思った。秋。

ビター・スウィート・シンフォニー
半ばぶっきらぼうに道を切り拓く
あながち嘘でも間違いでもない
変わらないことが、変われないことが、
必ずしも罪であるとは限らないけれど
何かなければないような気持ちにさせられる
季節が加速して背中を性急に叩く
私の時間はあと何マイルですか

一時期ほどの溜息と憂鬱、これから暮れにかけての、
は、少しはマシになっただろうか
落ち着きという諦念が
どんどん重くなる積み重ねの時と身体を
漬物石のように見せかけてほくそ笑む
ほら見ろ、とでも言わんばかりに
悔しいから私も微笑み返す
ほらね? まだ笑えるよ

ビター・スウィート・シンフォニー
歩いていなければ流れに飲み込まれる
止まるべきならば端によけて道を譲る
回転率のいいラーメン屋さんは
淡々とそれでいて無情に
麺を茹で人を捌きお金を得る
資本主義の申し子
頑張れば頑張っただけ報われるのは
あと何パーセントですか

迸ることが幸いならば溜め込むことにおいてはさながら
骨董品を性懲りもなく愛でるようなそんなしがみつき方なのでしょうか
冷え込みを増してゆく晩秋の空に
見えない影を送っては白い息をつく

もうすぐ冬、もうすぐ

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